~近年メジャーになった、夫婦二人で住宅ローンを組むプランニング~
ご相談内容
夫(28歳)
妻(27歳)
結婚2年目。
今後のライフプランを考えると、いつ、いくらくらいお金が必要か漠然とした不安がある。
特に住宅購入について知りたい。
・無理のないローン借入額や物件購入価格とは。
・ご夫婦双方に収入がある場合に利用できるローン契約について。(ペアローンなど)
現状を把握し、希望を具体的な数字に置き換えることで課題がはっきりし、行動に移しやすくなります。
家族構成や年齢を考慮し、予算決めの考え方をご提案しました。
◎希望と想定するライフプラン
- 住宅購入希望エリア:地方都市
- 戸建の場合は土地から(又は土地付き物件)購入・5年以内に購入希望。
- 子どもは1~2人欲しい
- 出産後は妻が1年育休を取得後フルタイムで復帰予定
◎家計の状況
- 夫(28歳):年収450万円
- 妻(27歳):年収450万円
- 貯蓄額:800万円
- その他の資産:車2台保有
- 負債:200万円(奨学金)
住宅購入は人生の「3大資金」
どんな家にしようか、いくらの家を買おうか、と物件情報を眺めるのは楽しいもの。
ですが、ほとんどの方が住宅ローンを利用して購入しますので収入から毎月いくらをローン返済に充てられるかが大変重要になってきます。
一つの目安として、年収の25%以内であれば無理なく返済できると考えられていますが、各家計により事情は様々ですので個別に判断する必要があります。
ご相談者様は出産の際に妻が1年間の育児休業休暇を取得する予定。
収入が一時的に減る時期があることから、減額時に合わせてローン返済可能額を計算します。
年収の25%を目安にひと月の返済可能額を試算
450万円×25% 112.5万円/年 ÷12= 9.4万円/月
育休中は約60%の給与支給として5.6万円/月
2人で15万円/月・・・Ⓐ
※この時点での借り入れ可能額 約5,300万円
住宅取得後はローン返済と並行して、住宅修繕費・固定資産税資金を準備していく必要があります。
戸建て住宅、マンション共に維持費として30,000円/月を見込みます。
修繕積立金として
30,000円を確保・・・Ⓑ
無理のないローン返済可能額
Ⓐ-Ⓑ=12万円/月
この条件から、ローン借入可能額(=物件価格)を求めます。
試算条件
返済期間 35年(2025年1月借入、2060年1月完済)
適用金利 フラット35の最頻金利を例に1.46%全期間固定金利とする
フラット35こどもプラスの優遇措置を利用し、当初5年間は1.21%
※適用金利は借入する金融機関によって異なります。
自己資金(頭金) 設定なし
借入可能額 約4,200万円
当初5年間 122,714円/月
以降30年間 127,094円/月
総支払額(元利計)53,116,840円
※今後のご夫婦それぞれの昇給も考慮し、調整して12万円/月を端数分超えた額になっています。自己資金(頭金)を増やすことで月々の負担額を抑えることもできます。
例:頭金200万円にした場合、借入金額4,000万円 当初5年間116,871円/以降30年間121,042円
ペアローンと連帯債務型ローン
共働き夫婦の場合、住宅ローンの組み方として「ペアローン」や「連帯債務型(収入合算)」を選択できます。
二人の収入を合算することで借入上限額を増やせるのがメリットです。
ペアローン | 連帯債務型(収入合算) | |
特徴 | 夫婦でそれぞれに別の住宅ローンを契約。(2本の契約) 一般的にお互いが連帯保証人となり、契約者の返済が滞った時に返済義務を負う。 | 夫婦のどちらかが住宅ローン契約者となり、もう一人が連帯債務者となって1本の住宅ローンを契約。 連帯債務者も借入額全額の債務(責任)を負う。 |
借入金額 | 例:夫 2530万円 妻 1670万円 | 4200万円 |
住宅ローン契約 | 夫婦それぞれ | 夫婦のどちらかが主たる契約者で、もう一方が連帯債務者 |
住宅ローン控除 | 夫婦ともに○ | 夫婦ともに○ |
団体信用生命保険加入 | 夫婦ともに○ | 契約者:○ 連帯債務者:× ※1 |
所有権 | 共有 | 共有 |
メリット | 夫婦ともに団体信用生命保険に加入できる。(保険料無料) 取扱金融機関が多い。(フラット35では取扱なし) | 契約が1本の為、諸費用負担が1人分で済む。 契約者に万が一のことがあった場合は残された家族に返済義務が残らない。 |
デメリット | 契約が2本に分かれるため、諸費用が2倍になる。 どちらかに万が一のことがあった場合、もう一方の返済義務は継続される。 | 取扱金融機関が限られる。 連帯債務者が団体信用生命保険に加入できない。 ※1フラット35であればペア連生団信に加入できるが特約保険料の負担がある。 |
連帯債務型(収入合算)・・・連帯保証型と混同しやすいのでご注意ください。
住宅ローン契約をする際は団体信用生命保険(以下団信)への加入が条件になっていることが多いです。
保険料は無料(健康告知あり)で契約者が死亡・高度後遺障害を負った場合にローンの返済義務がなくなる保険です。
連帯債務型(収入合算)では契約者のみがこの団信に加入できます。
連帯債務者の収入を返済に充てる計画であった場合、万が一のことがあってその収入が途絶えたとしてもローンの返済義務は全額残るため、契約者の負担が大きくなる可能性があります。
フラット35ではペア連生団体信用生命保険に加入することができますが特約保険料が必要です。
特約保険料見積もり 4200万借入れの場合
35年間完済時までに総額 4,446,300円の保険料負担・・・結構高額ですね。
◎住宅購入時にかかる費用
自己資金 150万円(頭金以外で引越し・税金・手数料など)
住宅ローン 夫:2,531万円 妻:1,643万円
◎購入後に毎年かかる費用
返済(ひと月あたり)
夫:約7.7万
妻:約5万
合計:約12.7万円
その他(見込み)
固定資産税 10~15万円/年(想定)
火災保険・地震保険料 20万円(5年一括払い)
修繕準備金積立 3万円/月
教育資金も人生3大資金
今後必要となるお子様の教育資金。
子育て支援の一環として教育費の無償化が進む気配がありますが、現時点ではまだ給付制限が多い為しっかり備えておきましょう。
・幼稚園⇒高校(公立)大学私立文系の場合 969万円
・幼稚園⇒高校(公立)大学私立理系の場合 1112.3万円
※学校外活動費(塾習い事等)を含む
地方から受験する場合は自宅外通学になる可能性も考慮します。
年間生活費(住居費・光熱費含む費用) 平均約110万円/年
※自宅外通学を始めるための費用(アパートの敷金・礼金、家財道具の購入費等)も発生します。
※大学入学費用については、入学先の大学へ支払う費用以外にも、受験費用や入学しなかった学校への納付金が必要になる場合があります。
まとめとご提案
以上、現在の家計にあてはめていただくとプラン実行後のイメージができると思います。
シミュレーションの数値はあくまで参考であり、実際の家計に合わせた資金計画が必要です。
今回、住宅ローン借入額シミュレーションの特徴としては、借入期間を最長の35年に設定していることです。
ご夫婦ともお若いので期間を長く、その分月々の負担を軽く設定しました。
資金に余裕がある時は繰上返済を進めることによって負担する利息部分を減らすことができます。
または、奨学金の返済を進めていくのも良いかもしれません。
あるいは、住宅ローンも奨学金も超低金利で借りているなら、余裕資金をNISAなどで長期運用しお子様の将来の教育資金に充てる選択もできます。
いずれにしても現在は金利上昇局面ということもありますので「金利」「利回り」に注目し、その時々でどこに現金をおくか考えられるようにしておくのが今後さまざまに変化するライフプランに適応するやり方かと思います。
住宅購入の予算決めに影響する要素として、自己資金(ご自身の預貯金、金融資産)/借入れ/親族からの援助があります。
親族からの援助とは贈与や無利子の貸し付けなどです。
贈与を受けると贈与税がかかりますが、住宅資金の贈与にはいくつかの優遇措置がありますので、活用できればより希望の住宅が手に入りやすくなるでしょう。
また無利子の貸し付けは贈与とみなされると贈与税がかかりますので、親族間であっても貸付契約書を交わすなど対策が必要です。
実行前に税理士や所管の税務署にご相談ください。
丁寧に教えてもらえます。
相談者様のご感想
◎相談する前のFPいながきの印象はどうでしたか?
日本FP協会のHPで過去の実績やプロフィールを確認し、相談しやすい雰囲気を感じました。
また、初めての相談で直接会うのは緊張するので、メールでのやり取りで完結するのがいいなと思いました。(メール相談をご利用いただきました)
◎FPいながきの説明は分かりやすかったですか?
YES 事前の情報共有を反映していただき、具体的な金額等が分かって良かったです。
◎回答、提案の中で実際に行動に移せそう/行動したものはありましたか?
YES
それはどのようなものですか?
住宅購入について、現実的な金額を元に夫と話し合うきっかけになりました。